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県単位にとどまらない産業の活性化を
最初にお話を伺ったのはSTEPの理事長を務める池澤さん。STEP設立の目的などを教えていただきました。
池澤さん:「当センターは1984年に設立され、四国における産業・技術の振興や、地域経済の発展に貢献することを目的に活動しています。設立当初より賛助会員の皆さまや省庁、競輪とオートレースの補助事業などのご支援をいただきながら、中小企業の技術開発や研究開発、販路開拓のサポートを行っています」
また、STEPの特長として、幅広い機関や人々とのつながりがあるそうです。
池澤さん:「STEPは“イノベーション四国”と呼ばれる、四国における試験研究機関、産業支援機関、大学・高専、金融機関といった計48機関からなる広域ネットワークの事務局を務めています。また、当センターの職員だけでなく、イノベーションコーディネーターと呼ばれる高い専門知識を持つ方々にも業務を委嘱することも特長です。さまざまな機関や人とのつながりをもって企業を支援することで、県を跨いだ支援や企業同士のコラボレーションを生み、オール四国で地域を元気にすることを目指しています」

つながりこそがSTEPの強みと語る池澤理事長
セルロースナノファイバーの可能性をもっと広めたい
STEP職員の渡さんと鈴木さんからは、四国の産業における課題やポテンシャル、STEPがとくに力を入れているセルロースナノファイバー(CNF)という素材について、詳しく聞くことができました。
渡さん:「四国の産業は人口減少や過疎化などによって縮小傾向にあるものの、ニッチトップ企業が多いという特長があります。2013年と2020年の経済産業省『グローバルニッチ企業100選』でも、12企業が四国から選ばれました。加えて、紙・パルプ産業といった四国を代表する産業も健在です。まだまだポテンシャルを秘めた地域だと、私たちは信じています」

普段は総務企画を担当する渡さん
鈴木さん:「CNFは、今話に出た紙・パルプ産業の先端技術として期待され、STEPが積極的に支援している素材です。木材などの主成分であるセルロースを非常に細かく解きほぐした物質で、たとえば漆喰に混ぜ込むことで微小なひび割れを防いだり、プラスチックに混ぜ込むと強度が上がったり……さまざまな活用方法がある上、自然由来なので環境にもやさしいんですよ」

セルロースナノファイバーの活用を担当する鈴木さん
渡さん:「CNFには大きな可能性があるのですが、まだその力を活かしきれていない状況です。そこでSTEPでは『CNF利活用検討ヒント集』というパンフレットを制作したり、大規模な展示会に出展するなど広報活動を行い、企業さまに“うちならこんな使い方ができるかもしれない”と、発想のきっかけにしていただいているんです。その活動においても競輪とオートレースの補助事業を活用させていただいて、とても助かっています」
鈴木さん:「そうですね。まずは素材自体や可能性を知ってもらうことが重要なので、サポートは非常にありがたいです。引き続き具体的な実用化やプロジェクト化を目指していくので、ご期待いただければうれしいです」
つながりこそが、イノベーションを芽ぶかせる
STEP職員とともに四国の産業を支えているのが、イノベーションコーディネーター(IC)です。鈴木さん、兵頭さん、千葉さんはそれぞれ県職員や電力会社などバックグラウンドは異なるものの、一つの志をもとにお仕事と向き合っていました。

ICとして活躍する兵頭さん(写真左)、鈴木さん(写真中央)、千葉さん(写真右)
兵頭さん:「ICには専門知識を活かしてサポートする方もいますが、主な仕事は自分のキャリアや人脈を活かして、人と人をつなげることです。そのためには、まずご相談いただいた企業との関係をきちんと構築することが大切。たとえば社長にいきなり“課題を教えてください”と言っても、親密な関係がなければ本心は教えてもらえないですよね」
鈴木さん:「そうそう。そうやって課題を知った上で、解決に必要な知識や技術を持っているキーマンをつなげるんです」
千葉さん:「あとは人をつなげました、で終わりにするのではなく、製品化や販売までフォローアップできる人じゃないといけませんよね」
兵頭さん:「そうですね。そういったことを総合的にできる人が、ICだと私たちは思っています」
鈴木さん:「兵頭さんは、なにかこれまでの仕事で印象深いものはありますか」
兵頭さん:「『四国は紙國』というサイトの立ち上げですね。四国は紙・パルプ産業が有名なのですが、ペーパーレス化などの影響で昔に比べると減退傾向にあります。ただ、そこで何もしないのは……という話になって、2013年に販売や新製品の開発、販路拡大などを目的とした総合マッチングサイトとして立ち上がったのが『四国は紙國』です」
鈴木さん:「確かにあの仕事は印象深い。私や千葉さんも間接的に関わりましたが、一大プロジェクトでした」
紙の総合マッチングサイト『四国は紙國』
千葉さん:「四国の紙・パルプ産業とひと口に言っても、企業ごとに製紙や加工など請け負う仕事や、和紙・洋紙など扱う紙の種類も違います。当然考え方や抱えている課題もバラバラ。まずは、どうやってそこをまとめるかが課題でしたよね」
鈴木さん:「大きなプロジェクトになると多種多様な人たちをつなぎ、まとめるために中心となる人物が必要です。『四国は紙國』立ち上げでは、愛媛大学の内村先生という方がキーマンとなって引っ張っていただきましたね。その方を中心に据えることができたからこそ、成功できたプロジェクトだったなと」
兵頭さん:「やっぱり人と人のつながりは大きいです。もちろん人間なので、合う・合わないはありますが、そこは私たちICが盛り上げなくてはと思っています」
千葉さん:「人と人との関係性を広げ、育てていくことでイノベーションの芽が生まれると思います。支援する私たちICもそういった芽が生まれそうなところを探しながら、時間をかけてサポートしていきたいです」

普段から交流があり、和気藹々と話していたお三方
技術だけでなく、人と人や、企業、学校、機関などのつながりをもってイノベーションを創出し、地域経済の活性化を目指していく。四国の産業を覗くと、そこには数えきれないほどの結びつきが存在し、互いに助け合いながら未来に向かう姿がありました。

四国の産業を支えている港
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