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平和の街とその文化を、後世へと
まずは瓊浦高校で副校長を務める畑野公昭さんに、伝統文化に関する教育に取り組む背景を教えていただきました。

平和の街・長崎の学校であることを強調されていた畑野副校長
畑野副校長:「長崎は原爆を落とされた街で、本校も同様に被害を受けています。その経験から平和教育にはとくに力を入れており、他国の要素が自然に交わる長崎独自の文化を平和の象徴として受け継ぎ、広げていきたいという思いが伝統文化に取り組む背景にあります」
また、畑野さんによると、ただ継承するだけでなく一歩踏み込んだ取り組みを行っている点が、瓊浦高校の特徴なのだとか。
畑野副校長:「本校では主に“亀山焼”という坂本龍馬も愛用したといわれる陶磁器と、“長崎ハタ”と呼ばれる中国やオランダの影響を受けた長崎独自の凧の継承活動を行っています。一方で過去の文化を引き継ぐだけでなく、現在の長崎の文化も盛り上げたいという思いから、新たな文化の発信にも力を入れています。とくにエイサー和太鼓部は、長崎ランタンフェスティバルをはじめとする数多くの祭りに参加し、地域の方々に親しまれています」
新たな文化としてのエイサー・和太鼓
取材当日は、エイサー・和太鼓部 「瓊琉會」の練習風景も見学できました。一糸乱れぬリズムや息の揃ったパフォーマンスは、本番さながらの圧倒的な迫力。真剣ながらも、演奏を心から楽しんでいる姿がとても印象的でした。練習後、生徒さんたちに話を聞いてみると、観客に楽しんでもらうには個人の技量はもちろん、チームワークが何よりも重要とのこと。しかし、少し前までは締太鼓の数が足りず、部員同士の連携や掛け合いが本番通りにできなかったといいます。

競輪とオートレースの補助事業を利用して購入された締太鼓
大野先生(顧問):「練習では不完全な状態でしたし、本番も地域の和太鼓チームから借りて臨むという状況でした。競輪とオートレースの補助事業を利用して締太鼓を購入してからは、本番通りの練習ができるようになり、生徒たちのチームワークもより一層高まりました」
また、大野先生のお話でもう一つ印象的だったのが、生徒さんたちがエイサー・和太鼓部に興味を持ったきっかけでした。
大野先生:「兄や姉がエイサー・和太鼓部のOB・OGで、その演奏を観て入部したという生徒が多いんですよ。兄姉きっかけでなくとも、地域の祭りなどで演奏を観たことで興味を持った生徒もいましたね。まだまだ新しい文化ではありますが、着実にその広がりや継承を感じています」

心を揺さぶる音が部室内に鳴り響いていた
生徒たちの願いが込められた長崎ハタ
新たな文化の息吹を感じた一方で、“亀山焼”や“長崎ハタ”など伝統文化の継承面では、長崎県美術館で開催されている「けいほ展」でその集大成を見ることができました。毎年3月ごろに行われる「けいほ展」では、伝統工芸品だけでなく、美術部や陶芸部、写真部の作品などが展示され、来場客の目を楽しませます。取り組みに関する詳細や思いを、実際に“長崎ハタ”を制作した生徒さんたちと、指導にあたった阿部先生に伺うことができました。
阿部先生:「私が教師を務める情報ビジネス科では、10年前から地元のハタ屋さんにご指導いただきながら“長崎ハタ”の制作を行っています。我々のハタは実際に揚げるものではなく観賞用ですので、最近では伝統的なハタのデザインにペイントを施すなど、装飾性を高めたりしていますね。日本の伝統文化である書道も、書道家の先生に教わりながらハタに取り入れているんですよ」
蕪尻さん:「書道は自分の願いを込めた1文字を選ぼうというテーマだったので、私は『雪』という字を選びました。雪自体の美しさや、足跡が残るものというイメージもあって。これからも足跡を残していこうという願いを込めたんです」
川口さん:「私は自分の名前と、未来へ羽ばたいていきたいという願いを込めて『翔』という文字を書きました。書道も難しかったのですが、ハタ自体の制作がとくに苦労しました……木枠に紙を糊付けするのですが、なかなかうまく貼れなくて。職人さんのキレイな仕上がりを見て、さすがだなぁと感動しました」

展示されたハタを解説してくれた阿部先生
伝統的な文化も、若い生徒さんたちには新鮮だったようです。また、創作を楽しむだけでなく、大切なことを学べる機会だと阿部先生は語ります。
阿部先生:「プロの職人さんや書道家からご指導いただいたり、交流を通じて創造性を高めていけることは、生徒たちの将来にとって大きな糧になると思います。また、後継者不足に悩む地元の伝統文化について調べ、考えること自体、長崎県民である彼らにとって良い影響があるのではないかと」学生たちにとっては、予想外のことも多かった徳之島での実験。チャピ教授は、どんなことを思いながら取り組んでいたのでしょうか。

伝統的なハタの模様に、生徒たち独自の装飾や文字が
ただ引き継ぐだけでなく、新たな発想を
最後に畑野さんから、改めて瓊浦高校の文化継承のあり方についてお話しいただきました。
畑野副校長:「“長崎ハタ”で装飾性や書道を取り入れたように、伝統を大切にしながらも、そこに今を生きる生徒たちの感性やアイデアをミックスしていくことが大切です。その過程で生徒に前向きな姿勢やチャレンジ精神が生まれ、長崎が活気づいていくのではと。競輪やオートレースの補助事業や地域の職人の皆さまなど、多くの方々の力を借りつつ、今後も生徒たちと文化継承や発信に取り組んでいきたいと思います」
ただ継承するのではなく、現代的な要素を取り込んで進化させていく瓊浦高校の姿勢は、さまざまな文化・考え方を受け入れ発展してきた長崎の精神そのものを表していました。

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