少子高齢化にともない、日本の農業の後継者不足や、高齢者への負担増加が課題になっています。そこで注目されているのが、ロボットによるオートメーション(自動化)です。スマート農業とも呼ばれ、農地管理や農薬散布など多くのシーンで活躍が期待されています。
今回はそんな農業用ロボットを研究している法政大学 人間支援ロボット研究室のチャピ ゲンツィ教授に詳しくお話を伺いました。

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管理しづらい農作物に、ロボットの力を

チャピ ゲンツィ教授は2002年に山形大学で博士課程を修め、その後さまざまな大学や研究所に所属したのち、2016年から法政大学の理工学部 機械工学科 人間支援ロボット研究室で学生の指導や研究を行っています。

画像: アルバニア出身で長年ロボット工学に携わるチャピ教授

アルバニア出身で長年ロボット工学に携わるチャピ教授

チャピ教授:「私の研究室ではさまざまな人間支援ロボットの研究をしています。農業用ロボットは、高齢者をサポートするロボットの一つ。代表的なものに自律走行型ロボットとドローンがあり、それらを用いてサトウキビの生育管理に関する実験を、鹿児島県の徳之島で行いました。自律走行型ロボットは地面からサトウキビを一本一本、ドローンは搭載したカメラで上空から畑を撮影し、最終的にAIも活用してサトウキビの生育状況や収穫量を予想します」

画像: 実験に使用された自律走行型ロボットとドローン

実験に使用された自律走行型ロボットとドローン

チャピ教授:「なぜサトウキビを実験対象に選んだかというと、全長が2メートルを超えたり、密集して生えたりするので、畑の中に入って管理するのが難しいからです。また、小さな農作物と違い、人間の目が届きづらい場所に病気の前兆が出たりもします。ロボットやドローンを用いれば、人間では見ることができない視点から、楽に管理ができるというわけです」

画像: 地面と上空の両方から、密集したサトウキビ畑を撮影

地面と上空の両方から、密集したサトウキビ畑を撮影

「予想外」を乗り越え続けた徳之島での実験

徳之島での実験については、同研究室に所属する学生の菊池翔太さん(自律走行型ロボット担当)と荒川虎徹さん(ドローン担当)にもお話を伺うことができました。

菊池さん:「東京と徳之島では、ロボットが走行する環境の違いに戸惑いました。そもそも土の種類や性質が違うので、思ったように進まないことも。ただ、実験自体は事前に複数の代替案を用意することで、柔軟な対応ができたと思います。あと、現地に着いたときにロボットのパーツが破損しているのを見つけたときは焦りましたね(笑)。現地のホームセンターでなんとか対処しましたが……」

画像: 今回の実験で自律走行型ロボットを担当した菊池翔太さん

今回の実験で自律走行型ロボットを担当した菊池翔太さん

荒川さん:「ありましたね(笑)。私も天候や地形など、現地に行かないとわからないことが多かったです。失敗もしながら、その場でチャレンジする精神が培われました。今回の経験を糧に、これからはいろんなサトウキビの品種データを揃えるだけでなく、整備されていない農場の収穫量を予想する精度を高めていきたいです」

画像: ドローンを担当した荒川虎徹さん

ドローンを担当した荒川虎徹さん

菊池さん:「そうですね。あと、私たちは地面と上空という互いに見えない場所を補完し合っているので、その連携をもっと強めて、さらに正確なデータを得られるように頑張りたいです」

学生たちにとっては、予想外のことも多かった徳之島での実験。チャピ教授は、どんなことを思いながら取り組んでいたのでしょうか。

チャピ教授:「実験自体は結果的にスムーズでしたが、天候が読めないこと、制限のある環境や限られたスケジュールはプレッシャーでした。また、多くの人や荷物を離島まで移動させる必要があるのですが、そこは競輪とオートレースの補助事業からのサポートをいただけたので非常に助かりましたね。サポートといえば、南西サービスさんという企業から、サトウキビのデータや実験用農場の提供があり……本当にいろいろな人たちに支えられて、実験が成功できたと思っています」

画像: 徳之島での実験中の3人

徳之島での実験中の3人

特に、現地で糖業を営む南西サービスさんの協力があってこそ、精度の高い実験ができたと話すチャピ教授。その南西サービスさんからも、実験の感想や今後への期待を伺うことができました。

南西サービス ご担当者:「ロボットやAIを活用したデータ分析は、これまで経験や勘に頼ってきた農業に新たな視点をもたらすものだと感じています。今回の研究成果が、より効率的で持続可能な農業の実現につながることを期待しています」

農業にとどまらず、高齢化社会を支えたい

最後にチャピ教授から、今後の研究目標や、研究が与える社会への影響について伺いました。

チャピ教授:「現在の収穫量予想のデータ誤差は7% ほどで、良好な結果を得られています。今後はより広範囲な農場や、整備されていない農場のデータを正確に取れるように改良を続けていきたいです。また、サトウキビに活用できるということは、同じく高さのあるトウモロコシなどの農作物にも応用が効きます。さまざまな農作物に応用ができれば、支えられる高齢者の方々の数も増え、高齢化社会により良い影響が与えられるかと。もちろん農業だけでなく、病院から老人ホームまで幅広い場所で活躍できるロボットを開発して、高齢者のクオリティ・オブ・ライフを高めていけたらうれしいですね」

画像: 真剣なまなざしでドローンをチェックするチャピ教授

真剣なまなざしでドローンをチェックするチャピ教授

チャピ教授や学生たちのまなざしや言葉から、研究者としての飽くなき追求こそが、社会を支える技術の土壌になっていると感じられた取材になりました。

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