eスポーツコースは2023年度に新設されたばかり。その設立に競輪とオートレースの補助事業が関わっていると聞き、静岡県出身のガールズケイリン選手、鈴木奈央選手が学校を訪問。コース立ち上げのエピソードや活動の様子を取材します。
※eスポーツとは「エレクトロニック・スポーツ」の略で、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般のこと
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youtu.be「こんにちは」と校舎に入る鈴木選手を迎えてくれたのは、校長の小森清敬さんです。
鈴木選手:「初めまして、ガールズケイリン選手の鈴木です。今日はeスポーツのプロを目指して頑張る学生さんがいると聞いて来ました。エントランスにたくさんトロフィーや賞状が飾られていますが、ここは一体どんな学校なんですか?」
小森校長:「初めまして!ここは広域通信制高校といい、不登校や引きこもりなどの過去を持ちながらも自分の夢を見つけて頑張る生徒や、学業と両立してスポーツ選手を目指す生徒など、さまざまな背景を持つ学生が在籍しています。2024年度の卒業生である西原源樹君や小竹知恩君は、在学中からJリーグ・清水エスパルスとプロ契約を結んで活躍していたんですよ」
そう言って、在校生や卒業生の活躍ぶりを紹介してくれる小森校長。基本的にはオンライン形式で授業を実施しているため、自宅や遠征先など学校以外の場所で授業が受けられるのも特徴のひとつだそうです。

エントランスで学校について紹介する小森校長(左)と鈴木選手(右)
鈴木選手:「私は高校生の頃に自転車競技を始めましたが、全日制の普通科だったので練習や大会などで授業や学校行事に出られない日もありました。スポーツなど自分のやりたいことと勉強が両立できるのはいいですね。eスポーツコースについてもぜひ教えてください!」
小森校長:「もちろん!では早速、教室に向かいましょう!」
補助事業を通じて、よりベストなプレー環境を
eスポーツコースの教室をのぞくと、最新のゲーミングPCを使って特訓する学生さんたちがいました。キーボードを叩く音が鳴り響きますが、この音はプレーに集中している証拠。画面の向こうでは白熱した試合が繰り広げられています。

ゲーミングPC本体を始め、ゲーミングチェア、イヤホンなども完備された教室
鈴木選手:「チェアやイヤホンも本格的!TVで見たことあるような機材ばかりです」
小森校長:「生徒たちが“この機材が欲しい”と希望したものを揃えました。そもそもeスポーツコースは、生徒の声が発端となってできたコース。ちょうどコロナ禍の自粛が続いた時期に“自宅でゲームをするのではなく、学校に行ってeスポーツがしたい”と言ってくれたんです。僕たち教師陣はeスポーツについて何もわからない状態だったので、コース設立の際はどんな機材が必要かなど、生徒が率先して意見してくれました」
自宅で授業が受けられる環境でも「学校に出てきたい」という声が出るほど、生徒のみなさんが精華学園を居場所に感じているのがうかがえます。
鈴木選手:「ゲーミングPCにKEIRINのシールが貼ってありますが、これが競輪とオートレースの補助事業を通じて購入されたものですか?」
小森校長:「その通りです!一般的なPCより高性能なため、最初は5台の導入が限界でした。でも、競輪とオートレースの補助事業を通じて計10台まで増やすことができたんです。eスポーツは5対5で戦うスポーツなので5台では対戦練習ができませんし、そもそも一期生が5人以上いたので数が足りていない状態でした。でも今は、全員が集中してプレーできています」
生徒のみなさんも、より良い環境でプレーできるから練習の質が上がったと嬉しそうです。
「好き」が、新たな学びや意欲につながる
「人生でゲームをした経験はほとんどない」と話す鈴木選手ですが、せっかくなのでeスポーツに挑戦してみることに。キャプテンである遠藤君が操作方法やルールをレクチャーしてくれます。
鈴木選手:「どのキャラを選べばいいんだろう?ここをクリックすればいいんですね。わ、動いた!難しい……!」
試行錯誤しながらプレーする鈴木選手。でも、慣れていくにつれて楽しそうな表情になっていきます。

人生初のeスポーツを体験する鈴木選手(右)とレクチャーする遠藤君(左)
遠藤君:「すごい!のみ込みが早くて驚きます!」
鈴木選手:「難しいけど面白いです!みなさんすごく速く動いていて流石ですね。eスポーツがオリンピック種目になったというニュースは私も見ましたが、他にはどんな大会があるんですか?」
遠藤君:「世界はもちろん、国内にもさまざまな大会があります。僕たちは2024年にSTAGE:0(ステージゼロ)という高校生を対象にした全国トップクラスの大会に出場して一勝を獲得しました。来年は高校生が参加できる大会にたくさん出場し、日本一を目指したいです!そしていずれは世界で戦いたいです」
小森校長:「eスポーツを通じて、生徒たちはものすごく成長しています。“もっと世界中のプレイヤーと戦いたい”と英語学習に励む子や、“プレーの様子を配信したい”と動画編集のスキルを身に付けた子もいます。大会に出場する際も、どの大会がいいか、どうすれば申し込めるかを自分たちで調べて行動していました。また、近々中学生を対象にしたイベントを主催する話もあります。eスポーツコースができたことで学校に注目が集まり、入学希望者はますます増えるでしょう。すべて彼らが頑張って活動してくれているおかげです」
フィールドは違っても、目指すものは同じ
プレーを一通り体験した後、改めて鈴木選手やみなさんに感想を聞いてみます。
鈴木選手:「今日はeスポーツについていろいろ知ることができました。ゲームと何が違うんだろう?と思っていましたが、大会があったりチームで戦ったりと、スポーツそのものですね!」
遠藤君:「競輪とフィールドは違いますが、僕たちもスポーツだと思って取り組んでいます!世界規模の大会で優勝すると億単位の賞金を獲得できますし、注目を集めればスポンサーが付いてプロとして活躍できるようになるんですよ」

夢について語る遠藤君。プレーの様子を動画で配信するなど校外活動にも積極的です
鈴木選手:「億単位の賞金!?競輪の世界にもKEIRINグランプリなどランク別に大きな大会があります。優勝賞金はもちろんのこと好成績を残せば、世間の注目を集めるきっかけになったりするので、そう考えると私たちの活動とも似ていますね」
遠藤君:「eスポーツの世界にもランク階級があり、トップ階級に入るには世界500位以内に入る必要があります。世界には何億というプレイヤーがいるので狭き門ではありますが、まずはそこに入りたい!毎日みんなで特訓して成績を上げ、結果を出せるよう頑張ります」
鈴木選手:「ガールズケイリンも年末のガールズグランプリを含めると5つの大きな大会があります。私の目標は、大きな大会にすべて出場してより上位の成績を出すこと。そしていずれは、最高峰のレースである“ガールズグランプリ”に出たい!私も夢を目指して頑張るので、eスポーツコースのみなさんも世界を目指して頑張ってください!」
小森校長:「eスポーツコースに通う学生の中には引きこもりや不登校の過去を持つ子もいます。でも、eスポーツをきっかけに一歩踏み出す勇気が持てたり、仲間と密にコミュニケーションを取ったりと、成長の過程を見られるのがとても嬉しいです。生徒の声から生まれたコースですが、本当にやって良かった。競輪とオートレースの補助事業にはとても感謝しています」
eスポーツと競輪。戦うフィールドは違っても、より上を目指して努力する姿勢は同じ。生徒のみなさんも、鈴木選手の勇姿を見て励まされたのではないでしょうか。最後は「これからも応援しています!」と互いにエールを送りました。

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