共同生活援助グループホームとは、障がいのある人が地域社会と関わりながら、少人数で共同生活をする住まいのこと。福岡県筑後市にある「はねっこ」には現在、知的障がいや精神障がいなどのある人が入居し、日中は働きに出て、主に夜間や休日において支援を受けながら共同生活を送っています。
「はねっこ」がどのような施設で、どんな思いが込められているのか。そして、入居者たちはどんな暮らしをしているのかについてお伺いしてきました。

共同生活援助グループホーム「はねっこ」について詳しくはこちら

安心して、自分らしく暮らせる居場所を

「はねっこ」には、8つの居室とリビングや浴室などの共有スペースが設けられています。入居者は自立した生活を送りながら、他の入居者たちと接することもできるため、コミュニケーション能力を育むことができます。施設の開設・運営に携わり、特定非営利活動法人はねっこ福祉会で理事長を務める北島スエ子さんに話を聞きました。

北島さん:「“はねっこ”の名前の由来にもなりますが、“跳ねるコマ”のように、入居者たちにとって未来へ羽ばたけるような場所でありたいと思っています。だからこそ、自分らしく笑顔で過ごせるよう、安全な住環境にはこだわりました。ひとつは、浴室ですね。立っていても座っていても手すりが掴めるように設置し、床の段差もなくしています。
他にも、扉は3枚の引き戸にし、広く開けられるので車椅子でも通りやすく、わずかな力で開け閉めができるので力のない人の負担軽減にもなるんですよ」

画像: 実際に手すりを使って説明してくれた、北島スエ子さん

実際に手すりを使って説明してくれた、北島スエ子さん

画像: 段差がなく、空間を広々と設けたバリアフリー設計

段差がなく、空間を広々と設けたバリアフリー設計

画像: トイレや通路、個室の押し入れなどは、広く開けられる3枚引き戸

トイレや通路、個室の押し入れなどは、広く開けられる3枚引き戸

個の生活と共同生活を両立し、毎日をより豊かに

現在「はねっこ」では、40〜60代の男女が暮らしています。年代や性別が異なる中、障がいのある入居者たちは、個の生活と共同生活をどう両立させているのでしょうか。

北島さん:「居室は、建物の右手側・左手側と、男女それぞれで分けています。就寝中の深夜時間には通路の出入り口をロックするので、行き来することはできません。ご家族からも安心できるというお声をいただいています。

画像: 洗面台やトイレはそれぞれ設けられているので、ロック後も気兼ねなく使える

洗面台やトイレはそれぞれ設けられているので、ロック後も気兼ねなく使える

もちろん、それ以外の時間は皆さん自由に過ごされています。居室で自分の時間を楽しんだり、お洗濯をしたり。リビングで夕食を取った後に談笑されることも多いですね。テレビ番組のことや好きな歌のこと、仕事のことなど、いろいろな話をされています」

では実際に、どのような時間を過ごされているのか、入居者の方々に話を聞きました。

能塚さん:「私は野球が好きなので、リビングで野球の話をすることが多いですね。寝る前まで話すこともしょっちゅうです。ここは、静かでいいところですよ。前は寝付きが悪かったのですが、入居してからよく眠れるようになり、本当に感謝しています。お風呂や脱衣所が広いのも、いいですね」

画像: 「“はねっこ”に住むようになって、気持ちが軽くなった」と能塚隆さん

「“はねっこ”に住むようになって、気持ちが軽くなった」と能塚隆さん

友野さん:「施設でお世話をしてくれる人から、やさしく声をかけてもらっています。普段は、一人で過ごしたいときは部屋にいますし、みんなと話したいときはリビングで過ごしています」

画像: 「一緒にお菓子を食べながら、おしゃべりする時間も楽しい」と友野恵美子さん

「一緒にお菓子を食べながら、おしゃべりする時間も楽しい」と友野恵美子さん

画像: 「今日はどんなことがあった?」と会話が始まる入居者の皆さん

「今日はどんなことがあった?」と会話が始まる入居者の皆さん

働く場はあっても生活の場がない、施設不足の現状

こうした障がいがある人向けのグループホームは、利用者の増加とともに、施設も増加していますが、それでも多くの課題がありました。とくに、知的障がいや精神障がいのある方のための施設が不足していることです。

北島さん:「たとえば、入院され、退院された後に住む場所がない。施設に入れない子を持つ親や親族が在宅介護で疲弊してしまう……などですね。障がいのある方ご自身からも働きながら生活できる場が欲しいという声があり、共同生活援助グループホームを建てようと考えました。そのときですね、知り合いから競輪とオートレースの補助事業の話を聞いたのは。当時の私にとっては、まさに救いでした」

画像: 北島さんは、40年以上前から障がいのある人の生活について考えられていた

北島さんは、40年以上前から障がいのある人の生活について考えられていた

古賀さん:「私は、グループホームに係る手続きのサポートが中心ですので、水面下での動きがほとんどでした。でも、三角さんは北島さんと話されていましたよね?」

三角さん:「そうですね。私は主に入居希望者を対象とした面接などを行っているのですが、長く障がいのある方と接してきた経験もあり、施設には個室があった方がいい、そして、お風呂にはこだわりたいなと思っていました」

北島さん:「三角さんの意見ももらって、設計士さんと一緒に、近隣のグループホームを見学しに行きましたね」

画像: 法人監事の古賀和広さん(写真左)とサービス管理責任者の三角レイ子さん(写真中央)

法人監事の古賀和広さん(写真左)とサービス管理責任者の三角レイ子さん(写真中央)

これからの人生を、この街で暮らすために

「はねっこ」が目指すのは、単なる住む場所ではなく、障がいのある人々にとっての「第二の家」。快適な住み心地はもちろん、この地域で安心して生きていける環境を整えることも大事なのだと北島さんは語ります。

北島さん:「そのためにも、まずは地域との交流会を開催することが目標です。障がいのある人にとっても、地域の人にとっても、コミュニケーションを通じてお互いを“知る”ことで心から安心できますし、地域とつながることでより人生を謳歌することができると思います」

三角さん:「地域のお祭りに皆さんと行ってみたり、町内で行っているスポーツ大会などに参加したりできるといいですね」

古賀さん:「そうして地域に溶け込むことで、たとえば災害が起きたときには地域の人が心配してくださいますし、「はねっこ」が地域の避難所として力になれます。共に支え合いながら暮らしていくという、共生社会の実現につなげていきたいですね」

入居者たちをあたたかく見守りながら、障がいのある人たちの日常生活と地域生活に寄り添い、羽ばたく未来まで考えられる。ゆったりと心地よい空気とやさしさが「はねっこ」には溢れていました。

画像: グループホームはねっこ

グループホームはねっこ

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