競輪場でがん検診が行われるという業界初の試みの様子を、現地を訪ね、取材してきました。
一人でも多くの人に、受診してもらうために
会場となる防府競輪場は、2024年10月にリニューアルしたばかりの競輪場。市民に親しまれ、自転車を通じた交流の輪が広がる競輪場をコンセプトにした施設は、まるで憩いの場のような開放感あふれる雰囲気が広がっていました。
家族連れも訪れるという、緑豊かな自然に囲まれた防府競輪場
この日、会場には大きな1台の検診車が停まっていました。競輪とオートレースの補助事業により導入されたもので、レースの売上の一部が活用されています。国が推奨している胃がん(X線)検診、肺がん・結核検診の2つを1台で実施することができるため、地域を巡回しながら、より多くの人に検診の機会が提供できるようになりました。
検診精度も向上し、良質な検診を提供できるようになった検診車車内
驚きの声と、来てよかったという声と
検診の会場が競輪場という意外な組み合わせについて、受診者の方はどう感じているのでしょうか。検診に訪れていた方に、どう感じたか、実際に来てみてどんな印象を持ったのか、お話を聞かせていただきました。
「競輪場があることは知っていましたが、これまで足を運ぶことはなかったんですよね。今日来てみて、すごくきれいだなと思いました。気持ちよく検診できましたし、市民のためにやってくれるのは本当にありがたいですね」
「今日をきっかけに、今度また来てみようかな」という声も
さらに、近隣にお住まいの女性に、検診車にレースの売上の一部が活用されていることをお伝えすると──。
「売上が、私たちの暮らしの中に使われていることは知りませんでした。すごく貢献してくださっているんですね、驚いています。今日は、会場が自宅に近かったので行きやすかったですし、広々と気持ちのいい空間でしたし、来てよかったです。競輪場の見方が変わったというか、身近なイメージを持つようになりました」とコメントをいただきました。
検診後に受けられる肺年齢測定スペースでは、会話が弾む明るい声も
検診のきっかけになることを願って
今回、全国初の試みとなった競輪場でのがん集団検診について、防府市健康増進課の坂本さんにお話を伺いました。坂本さんご自身も最初は意外性を感じたものの、今まで検診に来られなかった方も来てくれるのではないかという期待があったそうです。
坂本さん:「私たち健康増進課にとって、何より大事なのは地域の皆様の健やかな生活を守ること。そのためには、一人でも多くの方に検診を受けていただきたいのです。今回、防府競輪場ががん集団検診の会場になったことで、自宅から近くなったから検診を受けに来たという方もいらっしゃったのがうれしかったですね。さらに、補助事業によって検診車が整備されたことでがん検診を受診しやすい体制づくりにつながったのではないでしょうか。
今後は、まだ検診を受けたことのない方への普及や啓発に努めたり、継続的に受けていただけるようお伝えしたりしていきたいです」
「検診をきっかけに、市民の皆さんにお会いできてうれしい」と語る坂本さん
レースの売上が社会に還元されるモデルケースへ
最後に、防府市文化スポーツ観光交流部の工藤康彦競輪局長からもお話をいただきました。
工藤さん「まずは、無事に実施できたことでひと安心しました。ここ防府競輪場は昨年リニューアルを行い、より明るく開かれた雰囲気になったこともあり、皆様気軽にお越しいただけたのではないでしょうか。もともと競輪場のリニューアルも、地域の皆様とつながることを目的としていたので、今回のがん集団検診を経て実感することができました。
競輪は、レースの売上の一部を活用し、社会貢献や地域創生の一助になるよう支援しています。今回のがん集団検診では、防府競輪場を会場に、補助によって整備された検診車で地域の皆様の健康維持に還元することができました。ひとつのモデルケースができたこと、地域の皆様に競輪とオートレースの補助事業をご理解いただけたこと、とてもうれしく思っています。
実は、今日検診に来られた方にお配りしたお菓子も、近隣にある社会福祉法人施設で補助によって導入した機械で作られているんですよ。こうして、売上の一部が社会に還元され、循環していくということを改めて感じた一日にもなりました」
「競輪場から、地域の皆様の健康や楽しみの場をつないでいきたい」と笑顔に
競輪場から地域へ、そして、市民の方々の健康につながっていく。爽やかな秋空の下、施設内の遊具で楽しげに遊ぶ家族の明るい笑い声が、健やかで幸せな日々を物語るように響き渡っていました。