施設内にある「タンデム四重極型・飛行時間型質量分析計」は、競輪とオートレースの補助事業によって導入されたもの。この機械が企業の発展に大きく貢献していると知り、群馬県出身で現在も伊勢崎市を拠点に活動するオートレーサーの伊藤正真選手が、センターを訪問しました。
【CYCLE MOVIE#6】群馬の産業を最先端の分析技術で応援!―オートレーサーが地元企業を支える施設を訪問―
youtu.be地域の風景として馴染んだ施設を、実際に訪問
伊藤選手:「僕は生まれも育ちも群馬県。学生時代は毎日のように群馬産業技術センターの周辺を自転車で走っていました。馴染みは深いものの、建物の中がどんな風になっているかは知らなかったので、今日は見学できるのが楽しみです!」
群馬産業技術センターを訪れる伊藤選手
そう話す伊藤選手を迎えてくれたのは、企画管理係の中村さん。まずは、センター全体の取り組みについてお話をうかがいます。
中村さん:「当センターは地元の中小企業を中心に、多様な支援を行っています。技術改善や生産性向上のための研修や研究なども実施していますが、主体となるのは企業の依頼によって行う成分の試験・分析。食品や自動車関連などの企業から、“自社でつくった製品にどんな成分が含まれているか正確に知りたい”とご依頼をいただくケースが多いです」
群馬産業技術センターは、競輪とオートレースの補助事業によって導入された機械の他にも、分析・解析設備を数多く保有しています。大手企業であれば自社の設備で分析できますが、地元の中小企業やスタートアップ企業では設備を十分にそろえるのが難しいという課題があります。しかし、センターを活用すれば規模を問わずどの企業も精密な分析ができ、より精度の高い製品づくりにつながるのだと中村さんは教えてくれました。
伊藤選手にセンターの概要を説明する中村さん
伊藤選手:「成分を分析するかしないかで、製品のクオリティに変化があるのでしょうか?」
中村さん:「大きく違ってくると思います。例えば食品ですと、分析結果をもとにより栄養価の高い食品開発が目指せます。また、万が一ネガティブな成分が混じっていると発覚した場合も、製品化の前に改善や改良が可能です」
伊藤選手:「僕は3人の子どものパパで、息子や娘には体にいいものをあげたいという想いがあります。このセンターを活用すれば、より安心で栄養価の高い食品づくりにつながりそうですね」
中村さん:「まさにその通りです。野菜や加工品の他、サプリメントやプロテインなどの成分も詳細に分析ができます。風邪や花粉症のお薬なども、有効成分がきちんと入っているかを調べたりしていますよ」
伊藤選手:「本当に何でも調べられるんですね。体力づくりが欠かせないオートレーサーの中には、日々の食事に気をつけている人も大勢います。どの成分の入ったプロテインを飲むといいかはかなり気になるでしょうし、分析によってアスリートのニーズも満たせそうです」
最新の成分分析の様子を間近で見学
施設を見学した後は、実際にタンデム四重極型・飛行時間型質量分析計を使って成分を分析する様子を見せてもらいました。職員の川上さんがサンプルを使って解説してくれます。
川上さん:「成分を分析するには該当品を液体にする必要があります。今回は、フリーズドライした野菜を抽出して溶液にしました。これを機械に入れて分析してみましょう」
機械を使ってサンプル品を計測する様子
機械に溶液を入れたら、スタートボタンを押すだけ。後は自動で解析作業が進みます。機械内で溶液を気化し、その過程で微細な成分を検出。データを電気信号で受信し、結果がPC画面に表示されます。
川上さん:「この機械のおかげで、正確でスピーディな検証ができます。データを見ると“○○という成分が含まれていると考えていたが、実際には含まれていなかった”など、予想とは異なる結果が出てくる場合もあります。そんなときは世の中にある論文の情報と照らし合わせながら、より詳細な解析を行います」
伊藤選手:「面白いですね。野菜などの食べ物を砕いて溶液にするのはイメージできますが、製造業ならどんなものが分析されるのでしょうか?」
川上さん:「主にはオイルです。自動車の部品開発の現場では、同じ製品でも使用するオイルによって検証結果が異なるといったケースもあります。その差を知るために成分を調べて欲しいといったご依頼を受けたりします」
自らバイクの整備やセッティングを行うオートレーサーにとって、オイルはとても身近な存在。「オートレースで使用しているオイルも、調べたら新しい発見がありそうです」と、伊藤選手も自ら提案してみるなど、興味を持っている様子がうかがえます。
川上さん:「過去には、未知の成分を発見したこともあるんです。この先、私たちの分析によって誰も予想していなかった成分が見つかり、それが未来の常識を変える可能性も十分あります。そう考えると夢を感じますね」
伊藤選手の質問に答える川上さん
タンデム四重極型・飛行時間型質量分析計
群馬を支え、盛り上げる。それぞれの立場で
最後は、伊藤選手と中村さん、川上さんに本日の感想や今後の展望を聞いてみました。
川上さん:「分析したデータを提供すると、ご依頼してくださった企業の方はとても喜んでくれるんです。その姿を見ると、職員の一人としてとてもやりがいを感じます。本日ご紹介した機械はどんな企業の方も利用できるので、ぜひこれを機にもっと多くの方に当センターの存在を知ってもらい、企業や地域の発展につなげたいです」
中村さん:「競輪とオートレースの補助事業を通じて地元産業の発展につながる機械を導入できたこと、とても嬉しく思います。また、群馬県は昔から自動車産業が盛んなエリアです。近年はEV化が促進されるなど技術の進化が著しく、その分野でも成分分析が重要な要素になってきます。企業が新しい製品や技術を開発する過程を、当センターはこれからも支えていきます」
伊藤選手:「センター内に素晴らしい機能を持った機械がたくさんあり、圧倒されました。群馬県民としてこういった施設が地域にあるのは誇らしいですし、オートレーサーとして走って得た売上がこうした社会貢献につながっていると思うと、選手冥利に尽きますね。これからもどんどん活躍してオートレースを盛り上げ、競輪とオートレースの補助事業を通じて地域を支えていきたいです」
オートレースに懸ける想いを語る伊藤選手
中村さん&川上さん「今日はありがとうございました。これからも伊藤選手の活躍を応援しています!」
群馬産業技術センターのタンデム四重極型・飛行時間型質量分析計。これを通じて調査された食べ物や製品を、私たちは知らず知らずのうちに食べたり使ったりしているかもしれません。社会がより良くなるために事業に取り組む企業や団体の活動を、競輪とオートレースの補助事業はこれからも支えていきます。