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深刻な人手不足を、ロボット技術で解決するために管理しづらい農作物に、ロボットの力を
電子機械科では、電子回路の設計やプログラミングを学び、最先端の技術でロボットを作っています。この学科に最新のアームロボットが導入されたのは2025年のこと。導入の背景を、電子機械科学科長の山岸貴弘先生に伺いました。
山岸先生:「少子高齢化は、四国だけでなく、日本全国で進んでいます。その影響は地方製造業にもあって、企業の方とお話しするたびに、人手不足で困っているという声を聞きます。課題解決のため工場へのロボット導入が進められていますが、今度は扱える技術者がいないという課題にぶつかってしまう現状で……。そんな現状に対し、ものづくり教育を行う本校ができるのは地方製造業の次代を担う人材の育成でした」
製造業の課題を真剣に語る山岸先生
卓越した技術者を企業に送り込むことができれば、やがて日本全体の繁栄にもつながる。必要なのは産業用ロボットを使った実践的な学びであると考えた山岸先生は、競輪とオートレースの補助事業で新たに設立された、教育現場を対象とした「新世紀未来創造プロジェクト」に申請。第1期校の一つとして採択されました。
山岸先生:「人手不足に対応するロボットなので、本来は人が行う作業の代わりとなるアームロボットを選びました。企業で実際に使用するものだからこそ、就職先での即戦力になりますし、結果として生徒たちの強みや自信につながっていくと思います」
企業でも使われている日本のメーカーのアームロボット
生徒たちを産業界のスペシャリストへ
実習室でひときわ目立つアームロボットに、電子機械科の生徒さんはどんな反応を見せていたのか、小池成典先生に教えてもらいました。
小池先生:「ちょうど夏休み明けで、実習室に入るやいなや、みんな興味津々でした。すごく感動してくれて、先生早く動かして!触ってみたい!と競い合うように言ってましたね(笑)。まだ導入されたばかりでしたので、当時の電子機械科3年生の課題研究でロボットアームを取り扱いました。1〜2ヵ月かけてプログラミングや基本動作の習得を目指し、最終的にはアームロボットにダンスをさせるところまでいきました」
「生徒たちとともに私も勉強する日々」と小池先生
未来の産業界のスペシャリストを育てるために。授業では、アームロボットの知識や技術だけでなく、将来につながることも幅広く教えたそうです。
小池先生:「とくに時間をかけたのは安全教育です。就職先はもちろん、ものづくりを続けるために怪我があってはなりません。また、実際に企業の工場で使われていること、今の学びが将来の活躍につながること、ロボットSI検定の取得などができることなど、産業界のスペシャリストとして広がっていく未来を伝えました。おかげさまで、2025年度の卒業生から愛媛県内の製造業に就職した生徒もいます」
童謡「きらきら星」のリズムにあわせてアームロボットが動くシーンも
ロボットは楽しい、すごい、が技術者としての最初の一歩
取材時には、導入されたアームロボットにまだ触ったことのない生徒さんに初めての体験をしてもらいました。目の前にある最先端の機械に目を輝かせながらも、小池先生の話に真剣に耳を傾けます。初めての操作を前に緊張していた表情でしたが、アームロボットが動き出すと、すぐにワクワクした笑顔に。体験後、生徒さんに感想を聞きました。
「動きが精密で、なめらかで、すごい。製造業の人手不足の解消にも活用できるので、いつか私も就職先で使っていきたいです」
「アームロボットでクレーンゲームをしてみたり、積み木とかしたりも楽しそう」
「先生の話を聞いて、アームロボットの汎用性の高さに驚きましたし、就職先で何ができるのか想像が広がりました。これからたくさん学んで、学校で得た知識をどんどん広めていきたいです」
アームロボットを初めて操作して思わず笑顔に
「3年生になってから、ロボットアームの授業を受けるのが楽しみになりました。自分がイメージした動作ができるよう、プログラミングを組めるようになりたい」
「ロボットに頼ることも大事なのだと気づかされた」と一言
未来につながるロボット教育を
最後に、山岸先生、小池先生がそれぞれに思い描く、ロボット教育の今後の展望や想いを語っていただきました。
小池先生:「ロボットの活用は、これからの製造業の当たり前になってきます。松山工業高等学校の電子機械科の生徒たちを、この“当たり前”ができる生徒として自信をもって送り出したいです。アームロボットを使う授業もまだ始まったばかりですが、生徒たちの創意工夫を引き出しながら、やりたいことに自由にトライできるよう私自身も学び続けていきたいです」
山岸先生:「地方製造業の人手不足の解消を通じて、地域の活性化につなげていくことが目標です。そのためにも、一つひとつできる幅を広げていきたい。まずは、本校と同じアームロボットを導入している企業と連携し、より現場に近い学びの環境を作りたいと思っています。そして何よりも大事なのは、生徒たちにロボットを楽しいと思ってもらうこと。未来の産業界のスペシャリストは、その先にあると思います」
技術者をもっと増やしていけるよう、中学生にもアピールしていきたいと語るおふたり
松山工業高等学校のものづくり教育を、活気あふれる地域のために。アームロボットが切り開くのは、地方製造業だけでなく、若い人たちが先駆者として活躍する未来でもありました。