「こもれび」では、この車両に課題を抱えていました。導入の背景にどんな課題があったのか、施設を運営する社会福祉法人それいゆの井上卓さんと小西裕司さんにお話を伺いました。
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安心、安全にご自宅へ送り迎えすることが何より大事
井上さん:「実は、これまで使用していた車両は導入から16年が経過し、走行距離は15万kmを超えていました。メンテナンスの回数や故障頻度も多くなり、今のままでは、利用されている皆さんが安心して乗れないのではないか、と。そこで新しい車両を導入しようと考え、以前、福祉機器の補助でお世話になった競輪とオートレースの補助事業に申請しました」
「日々のメンテナンスも通常以上に心がける必要があった」と井上さん
小西さん:「導入を考えたのは軽自動車ですが、施設が所有する大型自動車では替えがきかなくて……。大牟田市には住宅地の細く入り組んだ道や田んぼのあぜ道も多く、大型自動車の走行が困難なケースがありました。ご利用される皆さんをご自宅前まで責任を持って送り迎えするためにも、小回りのきく軽自動車を早急に整える必要があったのです」
「大型自動車では、脱輪してしまうような道も……」と小西さん
新しく導入したのは、車椅子での乗り降りをサポートするスロープ付き軽自動車
快適な乗り心地だけでなく、誰もが運転しやすい車両を
導入した軽自動車は、設置されたスロープが短く、狭いスペースでも乗り降りすることが可能。さらに、広々とした空間に気持ちまでゆとりが生まれるほど。「こもれび」で実際に車両を利用されている方に感想を聞かせていただきました。
カワグチさん:「新しい車はやっぱりうれしいですね。乗り心地が全然違うなと思いました。みんなで車に乗って、公園や花見に行きたいですね」
ヤマモトさん:「乗ったらすぐに、新しい車だなと感じました。こもれびに来るのが一層楽しみになりました。毎日楽しみがいっぱいあって、ここでのおしゃべりも話題が尽きないですね」
笑顔で話を聞かせてくれた、カワグチハジメさん(88歳・写真左)とヤマモトフミさん(100歳・写真右)
井上さん:「新車だからこその気持ち良さもありますし、車椅子の場合はエンジンの振動が伝わりやすいので、車体の揺れが少なくなったことで乗り心地も快適になったと喜んでくれています」
ご利用される方だけでなく、意外にも施設の女性職員さんからのニーズも高かったとのこと。
小西さん:「女性職員の中には大型自動車の運転に不安を感じている人も多く、ご自宅まで無事に送り迎えする責任感も重なり、送迎へのプレッシャーがあったようです。普段から運転に慣れている軽自動車であれば、平常心で運転できると、女性職員も皆さん笑顔になってくれました」
女性職員でも、楽々スムーズに乗り降りがサポートできる
軽自動車なので、今まで以上に多くの職員が送迎できるように
高齢化社会に向き合い、大牟田市の将来に安心を
高齢化が進んでいる今、「こもれび」のような施設の重要性が高まってきています。地域に密着しながら、これからどう社会に貢献していきたいとお二人は考えているのでしょうか。
井上さん:「大牟田市は、高齢者の方が人口のおよそ38%を占めており、高齢者がかなり多い地域になっています。今後ますます在宅介護が増える中で、デイサービスはニーズの高い事業になるでしょう。当施設も、車両だけでなく、さまざまな設備を充実させていくことで、今は介護を必要としない世代の方にも将来の安心を感じていただきたいと思っています」
小西さん:「高齢者向けの施設は市内に数ありますが、その中から当施設を選んでいただいたことは“縁”あってのことだと思うんですよね。だからこそ私たちは、社会貢献に寄与することに誇りを持って、ご利用される方にもご家族の方にも一番ご満足いただけるサービスをお届けしていきたいです」
笑顔と話し声にあふれる、「こもれび」でのレクリエーション
ご高齢者の方のため、大牟田市の将来のため、「こもれび」で何ができるだろう─。お二人の向き合う姿勢やまっすぐな思いを車両に乗せて、これからも安心・安全に駆け抜けていきます。